アイビーファッション ファッション

TAKE IVYから学ぶ 緩い服装術

目次

1、ボタンダウンシャツの着こなし

2、短パンと裸足

3、寒ければ上着だけ羽織る

4、まとめ

1、ボタンダウンの着こなし

TAKE IVYより

IVYファッションIVYスタイル と呼ばれるものを表現する時に、いの一番のアイテムは? と聞かれれば100人中100人が"ボタンダウンシャツ"と答えるだろう。それほどボタンダウンシャツは、IVYファッションの代表アイテムなのだが、今じゃ当たり前すぎて、どこかの叔父さん達が着てるシャツのことだとも思われる。

最近では、ボタンが黒かったり不思議なボタンのボタンダウンシャツもある。イタリアンボタンダウンとも呼んでいるものもある。

そもそもファッションの観点から言わしてもらうと、色がどうこうなどは、どうでも良い事なのだが、IVYスタイルは、"ボタンダウンシャツにあり" と言えば、ボタンの黒いものなどは私でも少し嫌いである。それほど「IVY=ボタンダウンシャツ=クラシック」の関係式が強いのである。 

これについての議論は、いささか宗教のようにも感じるのが、アイビーファッション。正確には日本アイビーファッションに関して、あまりにも自由発言すると旧アイビー信者の方や旧VAN信者の方には怒られるかもしれない。

それほどアイビー教(狂)は熱心な信者が多いのである。それほどまでに完成されたファッションであったのだ。当時はそこまでの事ではなく、ファッションを浸透させるための餌であったはずなのだが、ファンが宗教として祀りあげてしまったのである。

当時に、VANや石津さん、くろすさんやメンズクラブの教えを受けた方々は、今でもその教えを守り、それ以外は邪道のように考える方さえいるが、ほとんどの方がアイビーリーグOBではないことも事実なので、意外と信者たちの言い分も弱いところである。

そもそも「アイビーリーグ=ボタンダウン」の図式は間違いで、別にアイビーリーグでなくとも、UCLAやスタンフォード、ワシントン大学の当時の学生の多くは、ボタンダウンを着ていた。

さて、少し横道にそれたが "TAKE IVYから学ぶボタンダウンシャツ" の緩い着こなしである。最近ではアンニュイなどとも表現しているが、アイビーファッションにおける緩い着こなしを、プレッピーファッションだとかバンカラアイビーだとか言うが、どっちがどっちなのだ?

雑誌などはいい加減なものが多く、好き勝手に表現して、その時代に新しい魂を植え付けようとするが、実際には同じ食いものなのだ。おっ といけない、同じ食い物ではなくて同じアイテムなのだ。

アウトドアーの衣類のことをラギットと呼んでみたり、少しアイビーな装いがアンニュイで可愛いなどと表現したりもする。近年のプレップアイビーリーグを見てみよう。

これだけは、はっきりと言える事だが、近年はプレップスクールの方が"昔風アイビースタイル"の学生が多いのは事実である。私が普段アメリカで拠点としている、マサチューセッツ州のウォーバーンから95号線で北に上がり、さらに1号線で北に上がると、ガバーノーズアカデミーという有名なプレップスクールがある。

ここに来るとTAKE IVYのような、昔のアメリカに戻ったような気分になる。とても高校とは思えない。残念ながら彼らの構内を歩く姿の写真がなく説明できない事が残念である。

男子学生はもちろんのこと、女子学生もスウェットの上下を誇らしげに着ているのである。

一方、ハーバード大学に見る今の学生には、昔のアイビースタイルなど一つもない。と言ってもいい程である。誠に残念であるが、事実とは、時に辛いものでもある。

多少まだ女子のほうが、らしきスタイルの学生がいる。残念なことに男子学生はボタンダウンもスウェットの上下もほぼ見ない。ましてブレザーにボタンダウンにローファーなどのコーデは、知らないのかもしれない。

アイビーリーグのひとつ、ハーバード大学敷地内にいた学生たち

TAKE IVYに出てくるボタンダウンシャツの着こなしで、私が好きな着こなしはリラックスな着こなしである。もちろん個人の着こなしはその昔からそれぞれの自由だが、日本のアイビーファンは、かなりきちんとしていて学校のパンフレットのようにも見える。日本人は少し工夫や着こなしについて、個人の感性や自分の意見が少ないようにも思える。

それは仕方がない。上下関係を重んじて先輩や教祖様が白と言えば白、黒と言えば黒なのだ。その昔、IVYが日本一のファッションだった頃、若者たちは ”でなければいけない”にしびれを感じ、実際の姿には目をくれようとはしていなかったかもしれない。

もちろん当時から自分流を考えていた先輩もいたとは思うが、ほとんどの若者がVANの信者で、メンズクラブや石津さんやくろすさんの言いなりになっていたことも事実であったはず。当時そのように前のめりに見ていた、TAKE IVYも、今ならまた違う角度で、新鮮な感覚で見る事が出来るのではないであろうか。

アメリカでは個々でサイズ感がバラバラ、どちらかと言えば日本人はジャストサイズ、現代の若者は大きくどちらもファッション感覚なのだ。でも、よーく見てほしい。TAKE IVYではみんなが好き勝手なサイズを着ている。

どちらかといえば少し大きめ、裾は出したり、入れたり、ボタンは締めたり、締めなかったり、半分締めたり。ボタンダウンの襟もこだわらずに自由に着こなしている。かっこ良さを求めているのか?着やすさなのか?楽なのか?それとも何も考えていないのか?それぞれでも、ちゃんと着こなしているように見えるのである。

どんな着こなしも自由とは言っているが、シャツの前ボタンを留めないのは、いただけない。結構見かける。かなりの確率でみんな留めていない。IVYの先輩達にはそんな方はいなかったと思うが、若者だけではなくてオジサンもお爺さんもボタンを留めないで着ている。このTAKE IVYを見て驚いたことは、誰一人として、ボタンを留めず前をはだけてシャツを着てるものはいないのだ。

TAKE IVYより 襟のボタンは外していても前をはだけて着こなすものはいない

アメカジファンも、ボタンを留めない方が多いのだが、着こなしている方は別として、率直に言うと留めてもらいたい。

"様" に見える着こなしと、ダサく見える着こなしがある。プレスの効いたままのシャツの前をはだけて着るのは、後者である。さらにパンツもプレスしているパターンが多い。前を留めずに着るのであれば、"洗いざらし" にしてほしい。ラフに着こなしたくても、せめて3個くらいでもいいから前ボタンは留めてもらいたい。

私は教祖様のような迫力も実力も実績もないので、信用できないかもしれないが、このページを訪れてくれた方には私の意見を聞いてほしいのだ。プレスをかけたシャツの前をはだけて着てほしくはない。まして襟のボタンを外すのはやめてもらいたい。

これが洗いざらしのシャツであればまだ理解ができるが、バンカラ学生だってそれなりに考えて着こなしていることを理解してほしい。まずは基本通りに前ボタンは留めて着る。今、若者の間で一番上までボタンを留めて着るのが流行っているが、それも、やめてほしい。TAKE IVY風ではないからである。

TAKE IVY時代の学生の中にも、ダサい学生もいたかもしれないし、それをスタイルとしてファッション的に着こなせていれば文句は言えない。ボタンダウンシャツの着こなしだけで、これだけ書けるのであるからTAKE IVYの本は「百聞は、一見にしかず」と言うが、まさに素晴らしい本である。

まずは基本通りにボタンを留めて、シャツの裾はパンツにインすることが基本で、それをきちんと理解することは大切であって、それを理解したうえでさらにTAKE IVYを見てほしい。

お前の個人的感情が多すぎと言われるかもしれないが、どうかご理解をお願いしたい。

2、短パンと裸足

短パンには裸足が似合うのは皆様も理解できると思うのだが、ここでいう裸足とは2種類に分類される。まずは裸足でスニーカーやローファーやビーチサンダルを履く。つまり裸足で何かを履いているのである。

東海岸は古い歴史的な造船所やヨットクラブなどもあり、その影響でデッキシューズを履いている方も多く、アイビーリーガーも当然履くのである。モカシン型のボートシューズが有名で、メイン州にはモカ縫いの工場が今でも存在している。

そのように元々裸足で履くものも多くあるが、裸足で履かないものを裸足で履くのが学生風なのである。さらにTAKE IVYを見ると全くの裸足で歩いていて靴を履いていないものもいる。

私もたまにやるが行儀が悪いし、ありえない。校内だから許されるコーディネイトなのだ。そこまで行くとバンカラを越してただの怠け者である。ちなみにローファーとは怠け者と言う表現もある。

さて本題に戻るが短パンに裸足は、素敵であると考えてもらいたい。これはやはり東部のヨットマンには特に多いスタイルであり、夏のお洒落コーデである。

それにしても裸足が多い。現在では考えられない。最近の学生たちはニューバランスやナイキのハイテクシューズがほとんどだ。

この時代はコンバースやボールバンドのようなバスケットシューのようなものや、ケッズにトップサイダーのようオックスフォードのスニーカーなどが主流だが、なんと革靴を履いている学生が多いのには驚きである。

紐靴を履いてる者はさすがにソックス履きしているが、スリッポンタイプの者は裸足が多い。はっきりとコインローファーと呼べる靴よりも、飾りのないスリッポンタイプが多いのも、この時代の特徴かもしれない。

TAKE IVYを見てると、ヴァンプ的な飾りのないものが多く見かけられる。

本来おしゃれな着こなしの足元は革靴なのだ。古今東西、いつの時代においても、おしゃれと呼ばれる方々は革靴を履いている。勿論この時代にも高級紳士靴と呼ばれるものが多くあった。

ジョンストンアンドマーフィー、アルデン、フローシャイムなどのアメリカのVIPも愛用するブランド、さらに英国の高級ブランドも多くあったはずである。

さすがに学生たちは身分相応なものを身に着けているが、裸足と短パンで履くと、それなりのスタイルになるものを選んでいたのかもしれない。

やはり暗黙の了解があって短パンでシューズ(高級靴)であればバミューダーを穿き、避暑地を連想させるお金持ちのコーディネイトになるのであろう。紐靴にバミューダーにシャツにジャケット。足元にはホーズと呼ばれるソックスを履くのが、夏のジェントルマンである。

絵本アイビー図鑑より

一方、アイビーリーグの学生は、そんな父親を持つ少しひねくれた倅たちなので、精一杯の悪びれた着こなしを、さらにバンカラ風に演じていたのだと思う。

形はバミューダーであっても、自身の大学のロゴ入りのスウェットだったり、ジャケットやネクタイなどはもちろん合わせず、だらしなめにオックフォードのボタンダウンシャツや、マドラスチェックのシャツをラフに着こなしていた。

それを初めて見た林田さんや石津さんやくろすさんには、新しいファッションに見えたのであろう。

実際にこのコーディネイトは、日本ではアメリカンファッションとして紹介された。それを勘違いした当時の若者たちは、新しいファッションとして取り入れ、今でも伝統的なファッションとして君臨しているのである。

ひょっとすると、提供側はファッションではないことを知りながら、ビジネスのことも考えていたのかもしれないが、それは間違いではなく、後にアメリカ本国でもアイビーやプレップスクールのカレッジのスタイルは、多くのデザイナーやブランドによって、ビジネスに取り入れられていったのである。

今でも、ラルフローレンはこのスタイルを大切にしている。

私はそんな学生達の地味な演出が大好きで、これをアイビーリーグ流短パンコーデと呼びたい。ファッションと呼ぶほどコンセプトがしっかりしてる訳でもないが、しかしながらやはりこのスタイルはカッコ良いと思えるIVYスタイルの代表のコーデなのだ。

JFKもそうであったが、普段着のスタイルはアイビーリーグのアルムニらしく、少しゆるめのシャツの袖をめくりあげて、下は短パンという着こなしである。足はもちろん裸足である。ぶかぶかのヒップホップ風ではなく、少しだけ大きいサイズで、リラックスな感じの緩さがアイビーリーガー風なのではと思う。

ジャストサイズよりワンサイズ大きめを着る、そんな着こなしこそがアイビーリーガー風着こなし術なのかもしれない。いつの間にか逆輸入するまでになった、日本生まれのアイビーファッションはアメリカ本国でもアメトラとして紹介されている。

いかに当時の林田さんはじめ、くろすさん、そこに目をつけた石津さんが鋭い感覚だったか?たまたまの偶然だったのかもしれないが、アメリカ文化を広めただけではなく、ファッションとしてビジネスにして、そして現在に至るまで形を残し伝えたことはまさに驚きである。

少し横道にそれたが、まとめてみると「短パンと裸足」こそアイビーファッションの代表コーデなのかもしれない。

3、寒ければ上着だけ羽織る

暑い日に半袖・短パンになったりするのは理解できると思うが、寒い日に短パン姿はおかしいと誰もが思うことは事実である。しかしながらそう言っておきながら、実は私は年中、短パンに近い。

私のアメリカでの拠点である、マサチューセッツ州の海岸エリアは古くからの港町が多い。ニューベリーポート、マーブルヘッド、グロースター、ロックポート、南に下れば、JFKが愛したケープコッドの街もある。

どこの街も冬は寒く、北海道でいえば十勝のようなところも多くある。海沿いと言っても、小樽のような生ぬるい気温ではなく心底冷える場所である。もちろんハーバード大学があるマサチューセッツ州のケンブリッジもである。北東部の海沿いの街はやはり想像以上の寒さである。

IVYファンであれば恋してやまないJFKのお膝元のCAPE CODの2月は北海道の十勝の人間もビビってしまう、まさに凍り付いてしまうのだ。

そんな海沿いの場所であっても、真冬に短パンで犬の散歩をしている人を見かける。上にはダウンジャケットを羽織っているが、下は短パン。中まではよく見ていないが、恐らく半袖である。私もである。普段、私が暮らしてる北海道の帯広市の真冬の寒い日は、日中でもマイナス15度までしか上がらない日もある。

子供たちはそんな寒い日でも学校へ通う。暖かい日でも冬の日中はマイナスである。札幌や小樽や、まして函館などハワイかと思うほど暖かい。少し大げさであるが日中のマイナス15度(年に2~3度)の日に、小樽でヨットに乗っていて地元のヨットマンに気狂い扱いをされているが、その日の小樽の日中気温はプラス5度で、温度差が20度である。同じ北海道とは思えないのだ。

そんな時でも私はいつもの感覚で、セーリング後のシャワーを浴びて、Tシャツ短パンで車に乗って食堂に行く。さすがにフリースのジャケットくらいは着るが、居合わせた他のお客さんからは、冷たい視線を感じる。気温なんかよりもよっぽど冷たい(笑)

雪の日にセーリングしているのは我々が日本では1艇であると思う

しかしながら、アメリカではあまり冷たい視線を感じることはない。住んでいる方みんながアイビーリーグ出身者ではもちろんないが、アメリカ人はものぐされで、めんどくさがり屋が多いのである。

つまり真冬の犬の散歩も30分ほどであれば、我慢できて家に帰れば暖かいので、ダウンジャケットを羽織るだけで十分なのである。当然私も同じだし、日本にいても温泉に行くときは半袖で短パンであり、常日頃、白い目で見られるがあまり気にしていない。

アイビーリーグの写真で見る姿は、別にアイビー的な装いではなく、一般的な姿であり、まともな人は服をきちんと着て、怠け者でだらしない者は、短パンで上着だけ羽織るのである。

つまりTAKE IVYにおいて、このような写真をアイビー的に捉えたのかもしれないが、それは全くの勘違いであると言えば失礼なのだが、事実はそうなのである。最近はそのような学生がアイビーリーグには少なくなっているがプレップスクールには、まだまだいるのである。

ガバーノーズアカデミーのプレッピー

まとめ

今回の話を考えてみると、緩く着ることはリラックスが一番で、それをファッション的に見せる着こなしなどが、アイビー的ファッションであると言えるのではないだろうか?

最近は多くなってきたが、数年前まで電車で短パンの姿をした人は私以外にはいなかった。勿論、寒い日は当然であるが、暑い夏の日でも短パン姿は見たことがなかった。それはアメリカに来る旅行者でもそうであった。

仕事柄ラスベガスにも何十年も行き来をしているが、展示会場などでも、短パン姿の日本人は、数年前まではゼロであったように思う。それほど日本人はきちんとしているのか、はたまた我慢強いのか?ファッションに関連する者たちの特権でもあると思うが、ほぼ見なかったのである。

国民性がそうしているかもしれないが、そんなきちんとした日本の若者に、アイビーリーグの学生のだらしない着こなしを植え付けた、VANと言う会社はある意味勇気があったと思う。

リラックススタイルを、カッコ良くファッション的に見せるには、ファッションセンスも必要であり、一つ間違えると、昭和の映画に出てくる、ただのダサい悪役にも見られそうなので十分に注意が必要である。

プレスのパンツにプレスのシャツで、前ボタンを締めないで歩いていると、隣町の太陽族や雷族にやられるので注意をしてほしい(笑)

今回も長い時間のお付き合いに感謝します。

エディー

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