今回は「焚火と音楽」と題したが、子供のころの懐かしい思い出話がメインになってしまった。音楽には後半の方でほんの少しふれています。
懐かしい思い出
キャンプを始めてかれこれ50年以上、正確に言えばテント泊してから52年の経験だが、子供の頃は川で泳ぎ、暖を取るために小枝を燃やし焚火をした。みんな小学生にもなればマッチくらいは一丁前に使えたものだ。
私が子供の頃は「2B弾」と呼ばれる子供用の花火があった。花火といってもその威力は牛乳瓶をも破壊してしまう程の危険な花火である。
2B弾はマッチ箱のヘリ(側面)で擦って投下するのであるが、マッチ箱でなくても電信柱や石、家の壁などで擦っても発火した。今の時代では絶対に受け入れられない、危険な子供用のオモチャであったのである。
頭の部分が擦れると簡単に発火してしまう為、子供のズボンやジャンパーのポケットの中で爆発し、けが人が続出した為、自然と駄菓子屋さんから消えていった。
その後、2B弾に代わり「クラッカー」なるものが誕生した。
クラッカーは、花火と同様にマッチで点火しなければならなかったので、ポケットでの暴発は防げたのだが、手で持ったまま爆発させても大丈夫なほど威力も半減していた為、あまり人気は出なかった。
危険な遊びほど楽しかったものだ。しかし子供達は親の目を盗み、その危険な遊びの中から「限度」というものを学んでいくのである。
今ではお仏壇などでしか使わないかもしれないマッチだが、昔はそれなりに多くの需要があった。
スナックや喫茶店等の宣伝用のマッチ、アパレルブランドのノベルティーマッチなど、徳用マッチ以外は買わなくてもどの家庭にも当たり前にあったものである。
体育会系のクラブでは、後輩が先輩の煙草に火をつける時など、必ずマッチを使用した。
大学応援団などは、入団すると初めの教育として「挨拶」と、「煙草」に火をつける練習をさせられたものである。今では考えられないが、学ランとマッチは切っても切れない、とても大切な必須アイテムなのであった。
そして時代はマッチからライターに変わっていくのだが、大学応援団はひょっとしたら今でもマッチのすり方を習っているのかもしれない。
そのくらい子供から大人まで、火はいつも身近にあったのだ。
落ち葉を集めてサツマイモを焼いて食べてみたり、その横で大人たちは煙草を吸い、世間話に夢中になっていた。
大人が一人の時は焚火をしながら何か鼻歌交じりで歌謡曲を口ずさみ、煙草の灰を焚火の中に落としていた。
子供たちは川で遊んで体が冷えてくると、お兄ちゃん達が石で囲みを作り、チビ達は草や小枝を集めてくる。そして焚火が始まるのだ。濡れた水着や服を乾かし、近くの畑から農作物を拝借(出世払い)してきて腹ごしらえするのだ。(笑)
今の環境だと火を燃やす事と言ったらキャンプに行っての焚火でしかお目に掛かれないが、昔はゴミ袋に入らない様な家のごみを庭先で燃やしたり、落ち葉を集めて焼き芋を作ったり、流木を燃やして河原で焚火をしたり、家では薪ストーブやルンペンストーブで火を燃やしたりと、キャンプに行かなくても割と身近に火の存在があったものだ。
子供の頃は家のそばに川が流れていたので、そこをキャンプ地としていた。「ござ」の上で毛布にくるまり、子供達だけで寝泊まりしたものだ。
暗くなってくるとチビ達は何となく不安になってくる。そうするとお兄ちゃん達がアニメの主題歌などを歌ってくれるのである。
それでも泣き出すチビ達は、お兄ちゃん達に連れられて家に帰って行ったが、私はビビりながらでもお兄ちゃん達のすることに興味津々で朝まで同じ時を過ごした。
昭和の懐かしいマンガ主題歌が、2枚組CDに50数曲収められているよ!
みんなで寝ころんで上を見上げると、空いっぱいの星が今にも落ちて来そうなほどに輝いていた。雨さえ降らなければ一晩中焚火をするので寒くはなかった。
夜もふけて来るとお兄ちゃん達は宇宙の話や、中学校に通っている美人のお姉さんの話や、トランジスタラジオを聴きながら西洋音楽の話なんかもして、お兄ちゃん達の話は盛り上がっていった。
私の二つ上のNちゃんが木の枝を唇にくわえ煙草を吸うまねをすると、Hちゃんは家から拝借してきた本物のハイライトを2本ポケットから出し、そのうちの1本を上級生達が回し吸いをしていた。
訳も分からず私もやりたいと言うと、驚いた顔をしながらそっと渡してくれた。吹いても吹いても煙は出てこない。Hちゃんから吸うことを習い、初めて煙を経験した。
とにかくびっくりして咳き込んで、どうしてこんなものを大人は吸ってるのか不思議でたまらなかった。
お湯を沸かして大人の真似をしながら、粉のココアやコーヒーを飲んだりした。ラジオから流れるのはいつも耳にしている歌謡曲やアメリカンポップスだった。
お兄ちゃん達はビートルズやモンキーズなんかを鼻歌交じりで歌っていた。後で知ることになるのだが、アメリカングラフティーでかかっていた曲は、焚火の時にラジオから流れていたものばかりであったような気がする。
焚き火と音楽。
焚火の時の音楽の心地よさは理屈ではない。本やブログやユーチューブなどで分かり得るものではなく、自らの体験によってのみ、この心地よさが分かるのである。
子供は子供なりの、大人は大人なりの世界があるのだが、キャンプ場や人が近くにいる場合などには、音量などにはくれぐれも気を付けて欲しい。
誰もいない河原や海辺などは最高だ。キャンプ場などでも人に迷惑にならない程度であれば、ジャズやカントリーやフォーク、あと童謡などもかなりお勧めである。
でも私の一番のお勧めは「ハワイアン」である。焚火をやりながらしんみりと音楽を聴く。またはBGMをかけながらランタンのそばで読書なんかも最高の時間である。
音楽があればとにかく幸せなものだ。昔、クマがいる山奥で、キャンプをしながら焚火をして音楽会を催したことがあった。
とは言っても全員で6名、観客はゼロ、それぞれ好きな楽器を取り出して好き勝手に演奏をする。
テナーサックス奏者が童謡の「むすんでひらいて」を吹き始めると、ドラムのばちでそれに合わせて鍋や食器をたたきジャズセッションをする。
さらにギターが加わり、ハーモニカも登場する。残りの2名は歌で参加する。
サッチモ(ルイ・アームストロング)を意識して、少しだみ声で歌う「むすんでひらいて」はジャズそのものだった。
とにかく焚火を囲みながらの音楽は、外遊びを何倍も楽しくさせてくれるのである。一人で楽しむソロキャンなどには、「ブルースハープ」がお勧めだ。
家族や仲間で楽しめる焚火と音楽は、アウトドアーライフには欠かせないもの。
その時の気分や人数によっても音楽の種類が変わって来たりもするので、いろんなジャンルの音楽を用意して行かれると良いであろう。
是非デイキャンプからでもいいので、焚火と一緒に色んな音楽も楽しんでもらいたい。きっと自分の好きな世界が見つかるはずである。
- 完 -